ベテラン介護士に聞いた! 家庭でも活かせる介護食づくりのポイント

食卓豆知識

高齢化が進む日本。自宅で介護をしているという人は多いのでは? 今回、介護職15年以上の現役介護士のTさんにインタビュー。「介護食づくり」のポイントについてお話を伺いました。

【1】相手に聞くだけじゃダメ。健康状態を正確に把握する。

食 暮Tさんは、介護職15年以上のキャリアをお持ちなんですね。

Tさんそうですね。専業主婦のときにヘルパー2級の資格をとり、ボランティアの延長線のような活動から始めました。その後、介護福祉士の資格を取得したんです。

食 暮具体的にどういったお仕事を?

Tさん介護の仕事にはいろいろありますが、私は利用者のお宅に伺って家事をサポートしています。ご年配の方を中心に、お風呂の介助をしたり、お料理をしたり。現在は、料理を作って食べていただき、片づけて業務終了という流れが多いですね。

食 暮誰かのために、しかも体にやさしい料理を作るのは難しいと思うのですが……。

Tさん私が所属しているNPO法人では、利用者さんの健康状態を正確にシェアする工夫がされています。利用者さん本人にも体調をお聞きしますが、ご本人が健康診断の結果などを把握していない場合もあるので、資料が大切なんです。

【2】今までの食生活をないがしろにしない。

慣れないキッチンでも手早く調理するTさん

食 暮Tさんは、もともと料理が得意だったのですか?

Tさんうーん、主婦として家族のご飯を毎日作っていましたが、特技というほどでは……。ただ、介護という面で考えると、料理上手が向いているわけではありません。

食 暮料理が上手なほうが有利だと思っていました。

Tさんもちろん、苦手よりは断然プラスだと思います。ただ、料理が得意だからと凝った料理を出しても、利用者さんに受け入れてもらえるとは限りません。どんなに体にやさしい料理でも、今まで食べたことのないメニューは抵抗感を与えてしまいます。一方で、新鮮な気持ちになると喜んでくださるケースもありますが、どっちにしろ介護士の自己満足に終わってしまうのはダメです。

食 暮なるほど。利用者さんの気持ちが大切なんですね。

Tさんはい。食事内容をガラリと変えるべき状況もあると思いますが、これまでの食生活を否定されると、利用者さんは残念な気持ちになります。でも、甘いのが好きだからといっても砂糖だらけの料理は出せません。今までの食生活から体にやさしい食事に少しずつシフトしていくのがポイントです。

【3】継続できるように、時短できる工夫をする。

冷蔵庫にあるものでパパっと一品を作りあげる

食 暮相手に寄り添って、かつ時間内に料理を完成させるのは大変ですね。

Tさん「作る→食べてもらう→片づける」の流れを1時間半程度で行います。でも、利用者さんによっては60分、45分など希望の時間枠は異なるので、時間に合わせて動きます。

食 暮冷蔵庫の中身を把握してから、作って食べて片づける……結構、ハード!

Tさんだから、ちょっとした工夫があります。魚焼きグリルを使うときは、魚をアルミホイルでかるく包んでから焼いて、掃除の手間を省く。煮物は時間がかかるので、制限時間内で終わる調理法を選ぶ。といった具合です。

食 暮これは家庭でもすぐに取り入れられそうです。家庭での介護は毎日のことですし、時短できたら継続しやすい!

【4】コミュニケーションで関りを大切にする。

食 暮介護職を続けて15年。一番大切だと思うことは何ですか?

Tさんやっぱり、コミュニケーションです。料理を作るにしても「もっと味を薄く・濃くしてほしい」など思っていることを気軽に言える人間関係のほうが、介護士側も料理を作りやすいです。初めて伺うお宅だと、調理器具の場所を教えてもらうところからスタートですし。

食 暮より仕事がスムーズに進みますね。

Tさん仕事はもちろんですが、何気ない雑談も楽しいです。こちらが料理する側ですが、「昔はこんなふうに料理してたわ」といってレシピを教えてくださったりして。

食 暮「おばあちゃんの知恵袋」みたい!

Tさんそうなんです。料理するだけじゃなく、人と人との関りが面白いし、楽しもうと思っています。コミュニケーションが楽しいから、この仕事が続いているのかもしれませんね。

食 暮介護士と利用者さん。コミュニケーションが必要不可欠ですね。当たり前のことだけど、だからこそ忘れられがち。コミュニケーションというと大層なものに聞こえますが、何気ない会話のキャッチボールが生活を豊かにしてくれるはず。貴重なお話、ありがとうございました!

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編集部より
今回の取材を通して、介護職の奥深さを感じました。料理スキルは大切ですが、コミュニケーションがあってこそ! 自分の料理に自信がない。介護食って何を作ればいいかわからない。と悩んでいるなら「会話」から始めてみてはいかがでしょうか。そして、いろいろ試してみてください。上手くいかなくても、失敗は成功のもと。ベテラン介護士のTさんも、新人時代は失敗したことがあるそうですよ(笑)

 

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南條 祐弥

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薬膳コーディネーター、食生活アドバイザー。 食や健康に関する知識を活かし、フリーランスライターとしてWebサイトから書籍まで多岐に渡る媒体で執筆に励む。企画...

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