主婦たちの本音トーク 食料自給率の向上は難しい?

井戸端会議

井戸端会議@食暮は、主婦・主夫の方々にご参加いただき「食」に関することを話し合っていただくコーナーです。主婦だからこその目線、感じることを和気あいあいと議論。
今回は、「食料自給率」について語り合いました。

参加者プロフィール

Aさん
専業主婦で夫とふたり暮らし。結婚を機に、「食」について興味を持つようになる。普段から食材やレシピに関する書籍や雑誌を読み、食生活アドバイザー3級の資格を持つ。とはいえ、まだまだ新米主婦であるため、家族のために勉強する毎日を送る。
  
Bさん
会社員として勤めながら、家庭では食事を担当。忙しいため、ついつい惣菜に頼ってしまう日々。それでも、健康的で美味しいものを食べたいと考えている。会社員ということもあり、経済などの社会情勢にも興味あり。
  
Cさん
主婦歴30年を超えるベテラン主婦。2人の子どもが独立してからは、夫婦ふたりで暮らしている。もともと専業主婦であったが、現在はパート勤務中。家事と仕事をこなすなかで、家庭菜園が楽しみのひとつ。

国産と外国産、どちらを選ぶ?

Aさんひとり暮らしのときは、食材の原産地をそれほど意識していませんでした。国産と外国産との値段の違いをリアルに体感したのも結婚してからです。それでも、農薬などが心配で……家族のことを考え、できるだけ国産を選ぶようにしています。

Bさん私は惣菜をよく買うのですが、惣菜には細かい原料表示がありません。なので、国産・外国産といったことを把握せずに購入することもあります。もう少し意識したいところではあるのですが……。

Aさんたしか、店舗内で製造して販売されている加工食品に関しては、食品表示が不要なんですよね。

Cさん消費者側としては、食品表示がないのは心配ですよね。その点、私は家庭菜園で作った野菜などを活用しているので、安心かもしれません。田舎なので、ご近所で食材を交換したり……昔ながらのスタイルが続いています。
もし、お惣菜などにも食品表示があったら、国産を選びたいですか?

Bさん国産の食品を買いたい気持ちはありますが、コストの面から考えても、外国産でもいいかな。外国産も堂々と店頭に並べられていますし、今まで食べていてカラダに異常がなかったので。
それに、日本にも外国の方がたくさん暮らしていらっしゃるので、スーパーが国際化していくのは自然の流れだと思います。

日本の食料自給率は、高い?低い?

Aさん日本の食料自給率は、「普通」だと思っていました。でも、「食生活アドバイザー」の資格を取得するための勉強を通して「低い」と感じるようになりました。
本で読んだところ、1965年の食料自給率は73%でしたが、2000年には40%にまで落ちたそうです。(※1) 現在は、40%で横ばい状態だそうですが、昔に比べたら低い値です。

Cさんきっと食生活の変化が影響しているからでしょうね。和食から欧米型中心の食生活になってから、原材料として大量の輸入品が必要になったと聞きました。

Aさんそうですね。日本は、大豆、小麦、果物、肉類の大部分を輸入に頼っているというデータがあります。農林水産省によると、現在の食卓に並ぶ食品の約8割は輸入されたものだそうです。(※1)

Bさん私も食料自給率は低いと思います。最近は、オシャレな輸入食品のショップも増えてきて、輸入品に対する抵抗を感じなくなりました。
服や雑貨なども輸入品が多いですし、工場を海外に設ける会社もたくさんあります。食品も雑貨も、すべての工程を日本で行うことが珍しくなった気がします。

今後、日本の食品自給率はどうなると思う?

Aさんこのままだと食品自給率は低下していくと思います。もし海外に頼る部分が大きくなったとき、国力の低下に繋がるのでは? と心配です。
極端な話、海外の言い値で食品を買わされる。なんてことも起こりうると思いますし。日本には、自立できる力を持つ国であってほしいんです。あらゆる国々と対等でいるためにも、食品自給率は大切だと考えます。

Bさんたしかに国力が下がるのは心配です。このまま生産者さんの人口の減少が進めば、それに伴い自給率も下がるでしょうね。そのためにも、生産者さんの待遇を向上させたり、災害を起こってしまったときのリスクを検討する必要があると思います。
就活をするときに、一般企業の採用試験を受ける人に比べて、農家などに就活をする人は多くありません。就職を考えたときに、農業や畜産業がもっと身近な存在になればいいのですが。

Cさん子どもの「なりたい職業ランキング」で生産者が上位に入るような憧れの仕事になればいいですね。日本の人口減少が進んだとき、生産者と会社員の比率はどうなるのか。
10年後20年後……もっと将来をイメージしたときに、食料自給率を下げないための工夫を早く始めなければ! と思いました。

食品自給率を高くするために、私たちができることは?

Aさん食品自給率を上げるために、私はできる限り国産の食品を購入するようにしています。予算などの都合があるため「すべて」とは言えませんが……。

Bさんでも、Aさんだけではダメだと思う。私を含めて、日本人みんなの意識を変えることが大切です。経済的な問題もあって、少しでも安い食材を求めている人がたくさんいますし、その気持ちもわかります。
でも、高くても国産に魅力を理解してもらい、生産者さんを応援する気持ちを持ってもらえたらいいのかもしれない。

Cさんそのほかにも、みんなが小さな生産者になるというのも選択肢としてアリだと思います。

Aさん家庭菜園をすることで、自給自足をするということですね。たしかに、食育にも繋がりますし、家族全員で食べることを見つめなおす機会になりそうです。
たとえば、勉強会などを開いて、農家さんから野菜の育て方などを教えてもらったりして。農家さんの仕事も、食材を「育てる」だけでなく、ノウハウを「伝える」ところまで広がりそうです。

Cさん日本には、物物交換しながら自給自足してきた歴史があります。昔のようにすべてをカバーするのは難しいですが、小さなものでも育ててみるといいかもしれません。
最近では、豆苗やミントなど簡単に育てられる植物があります。自分たちが育てた食べ物なら、愛着も湧き大切に食べられると思います。

Bさん家に植物があるという環境もステキですね。あと、私は「食品廃棄率」も気になります。自給率を高めるがために、むやみに生産量を増やすのは非効率
食べ物を大切にして、本当に必要な量を見極めるところから始めるといいと思います。そうしたら、自給率の値も少し変わるのではないでしょうか?

Aさんそれは一理あると思います。飽食の時代になり、食べ物が無駄遣いされている場面が増えたように感じます。食品廃棄物の量は、2012年には年間1,916万トンもあったそうです。(※1)
食品廃棄物を削減し、飼料や肥料などの原材料として再生利用するために「食品リサイクル法」という法律も制定されています。食品自給率を高めるためには、「食べ物を大切にする」という気持ちがあることが前提なのかもしれませんね。

Bさん便利で安いだけが食品の価値ではない。忙しくてつい忘れてしまいがちですが、立ち止まって考える時間が持ちたいです。たとえ、食料自給率が下がったとしても、日本の強みがあることが大切だと思います。
ほかの産業を発達させることで、外交の際にスムーズに交渉を進められるかもしれません。食料面では輸入する立場でも、ほかの分野で輸出を増やせば、他国との貿易のバランスをとりやすくなると考えるからです。私は働くことで日本に貢献していくつもりです。

Cさん立派な考え方ですね。食料自給率の話をすると、ついつい食品についてばかり議論しがちですが、多くの視点から考えるべき。
簡単に正解が出る問題ではないけれど、こうして意見交換ができて良かったです。また井戸端会議に参加したいと思います。

編集部より

立場や境遇は違いますが、参加者全員が日本の食料自給率の低下を感じていました。食料自給率を高めるための方法として、それぞれアイデアを発表。消費者側の意識を変えるほかに、働き方や家庭菜園などの考えが紹介されました。

そのほか、食料自給率を考える前に食料廃棄率の見直しを求める意見も。第1回目の井戸端会議でしたが、さまざまな意見が飛び出し和気あいあいとした雰囲気でした。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 

※1 (「改訂版 食生活アドバイザー(R)3級公式テキスト、日本能率協会マネジメントセンター、2015年」より)
 

書籍情報

南條 祐弥

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薬膳コーディネーター、食生活アドバイザー。 食や健康に関する知識を活かし、フリーランスライターとしてWebサイトから書籍まで多岐に渡る媒体で執筆に励む。企画...

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