世界がんデー。患者家族で「がん治療の在り方」を考える

井戸端会議

井戸端会議@食暮は、主婦・主夫の方々にご参加いただき「食」「健康」に関することを話し合っていただくコーナーです。率直に思うこと感じることを和気あいあいと議論。
今回は、2月4日世界がんデーに向けて「がん治療の在り方」について語り合いました。

参加者プロフィール

Aさん
30代のサラリーマン。大学生の頃に、実母をすい臓がんで亡くす。自営業だったため、母が体調を崩してからは、仕事を手伝うように。亡くなってから約10年経過したが、現在も「すい臓がんは難しい」という現状が変わらないことがもどかしい。
  
Bさん
専業主婦で夫と子ども(2歳)と3人暮らし。祖母が胃がんを患っているほか、がんで亡くなった知人・友人がいる。胃がんの手術のために入院していた祖母が認知症に。がん治療によって延命はできたが、治療による弊害を感じている。
  
Cさん
主婦歴30年のベテラン主婦、大学生の子ども1人、社会人の子ども2人。最近、歳の離れた兄が肺がんで亡くなった。高齢ということも重なったのか、抗がん剤治療を始めてまもなく体調不良に。医師が勧めるがまま治療を受けることが正解だったのか……いまだに正解がわからない。

2月4日は「世界がんデー(World Cancer Day)」

Cさん以前、インターネットで「がん」に関する情報を調べていたときに、2月4日が「世界がんデー」ということを知りました。

Bさん私は「世界がんデー」の存在自体を知りませんでした。Cさんは日常的にがんについて調べていらっしゃるんですね。

Cさんそうなんです。最近、兄ががんで亡くなったこともありますし……それに、私たち世代(50~60代)は関心が高いと思います。自分の親が高齢だし、自分自身も決して若くはありませんから。

Aさん僕は母をすい臓がんで亡くしてから、「がん」という言葉が怖くなりました。なので、自分からインターネットで情報収集とかはしなくて。「世界がんデー」も初めて知りました。

がんの進行の早さに愕然とした。ゆっくり考える時間はなかった……

CさんAさんは、お母さんを若くして亡くされたんですね……。

Aさんはい。すい臓がんでした。気づいたときには結構進行していて、選択肢が限られていました。でも、いまいち実感できていない自分もいました。順番でいえば、祖父母、両親の順で亡くなると思うじゃないですか。でも、うちの場合、祖父母はピンピンしてて、まさか母が先なんて、思いもよりませんでした。

Bさんすい臓がんは今でも難しい病気って聞きます。ほかのがんと比べても生存率は低いんですよね。

Aさん初期症状があまりなくて、腹痛や腰痛などの症状が出て整形外科を受診したんです。最初の検査では異常がなかったんですが、精密検査ですい臓がんが見つかって……。その後、約1年後に亡くなりました。母の死から10年ほど経ちましたが、それでも「すい臓がんは難しい」という現状が変わっていないことが残念です。

Bさん手術、抗がん剤、放射線。そのほか検診の精度が良くなるといいですね。

Aさんそうですね。僕の母の場合、あまりの進行の早さにゆっくり検討する時間はなかったように覚えています。少しでも延命できるなら、お医者さんがそういうなら……その一心でした。

Cさん検討する時間、猶予がほしい。そのために、初期で発見できる技術や仕組みが整ってほしいですね。命の危険が迫ると、頭が真っ白になって何が正しいのか、本人だけでなく家族もパニックになります。

命は助かったものの、がん治療による弊害は大きかった

Bさん私の祖母は、胃がんの手術をしました。今でも病院に通っていますが、症状は落ち着いているようです。ただ、70代後半ということもあってか、治療後の生活の変化に本人は戸惑っているように見えます。

Cさん私の兄もがん治療によるカラダや生活の変化に苦しんでいるようでした。年齢を重ねれば重ねるほど、環境の変化に対応するのは難しいと思います。

Bさんですよね。がん治療が直接的な原因ではないかもしれませんが、入院中から認知症のような症状がでてくるようになりました。手術が済んで1年以上が経ち、今では私のことを「孫」と認識できません。自分の存在が忘れられてショックでした。

Aさんそれは悲しいですね。若い世代のがんも深刻な問題ですが、年配の方の場合はいっそうご家族のフォローが重要だと思います。一人で通院できない方もいると思いますし。

Bさんはい。通院の際は、母か叔母が付き添っているそうです。私は遠方だからお手伝いをできていないのですが、本音をいうと逃げているというのもあります。「自分のことを忘れられていること」「元気だったおばあちゃんの弱った姿」。本当は向き合わないとダメなんでしょうけど。

Cさん……。厳しいことをいうようですが、やっぱり向き合ってあげてほしい。一番つらいのは、おばあさんだと思います。それに、何より生きているだけで素晴らしいことなんですから。

選んだ治療法が正解だったのか、今でもわからない

Cさんに持参いただいた書籍(詳細はページ下部にて紹介)

Cさん私の兄は、肺がんで亡くなりました。10歳ほど年上で、いつも頼りになる強い人でしたが、最後は見ていて本当につらかったです。

Aさん肺がんが見つかったときには手遅れだったんですか?

Cさんもう手遅れだといわれました。兄は「もう歳だし抗がん剤治療は受けない」と言ったんですけど、私が「死んでほしくない!」と泣きついたので、抗がん剤治療を受けてくれました。でも、抗がん剤治療が始まってすぐに体調が崩れてしまって。余命3カ月といわれていたのに、1カ月で亡くなってしまいました。

Bさん……。お医者さんから抗がん剤のリスクについて説明はありましたか?

Cさんもちろん、ありましたよ。でも、手術ができない状況だったし、できることはすべてやりたかったんです。ただ、その結果、私が兄の寿命を縮めてしまったんじゃないか。と後悔しています。先進医療の話を聞くと、抗がん剤以外の方法もあるのでは? と最近思うようになりました。兄が亡くなった今でも、がんに関する本を見つけると読んでいます。

Aさん「できることをすべてやりたい」という気持ち、とてもよくわかります。僕も母の病気が治るなら、少しでも可能性があるなら! って必死でした。でも、どの情報を信用していいのか、難しいところです。

Cさん私もわからないことだらけでした。ただ、もっと兄の気持ちを尊重してあげたら良かった。タバコをやめるように、きつく言っておくべきだった。もっと早く受診させるべきだった……どの道が正解かなんて、進んでみないとわからないけど、やっぱり後悔が残っています。

がんを予防するために生活習慣を見直す

Cさんがん患者をそばで見てきたからこそ、「予防は大切」だと強く思います。たとえば、タバコを吸う人は、がんになる確率が高いと聞きます。自分が病気にならないためにも、周りの人の健康を守るためにもタバコは吸わないほうがいい。

Bさん同感です。最近は、外出先でタバコを吸っている人を見かけると、その場所を避けるようになってしまいました。私の場合、子どもと一緒に出かけるので、余計に受動喫煙が気になるんです。

Aさん僕の母も喫煙者でした。当時は気にしていませんでしたが、がんで亡くなってからはタバコに対する意識が変わりました。病気になってから、亡くなってから、後悔しても遅いです。現在健康な人には、タバコに限らず、アルコールの摂取量や適度な運動など、できることから始めてほしいです。

Bさんただ、不安な気持ちにつけ込んだ、悪徳な商売をされている人がいるのも事実。有効なものもあれば、効果のないものもあるし、むしろカラダに害を与えるものも出回っています。見極めはとても難しいですが、情報に振り回されず、冷静に考えることが大切ですね。

Cさんそうですね。現在、すでに体調を崩しているなら医師に相談すべきです。ただ、健康なのに先々が不安だからと大金を払って商品やサービスを利用する前に、食事内容など身近なことから始めたほうがいいと思います。がん予防は遺伝的な要因よりも生活習慣が影響するそうなので、まずは生活習慣を見直すこと。これは、今日から始められることです。

◆「がん」の記事をもっと読む>>

編集部より
今回は、ご家族にがん患者がいらっしゃる3名からお話を伺いました。悲しい思い出を振り返っていただいたので、つらかったと思います。それでも、真剣に丁寧にお話してくださいました。参加者のお一人が「家族ががんになったことはつらいこと。でも、きっとその経験にも意味があると思いたい。」とおっしゃいました。私たちはその言葉に力強さを感じました。参加いただいた皆様、ご協力いただきありがとうございました。

 

Cさんに持参いただいた書籍情報

南條 祐弥

112 views

薬膳コーディネーター、食生活アドバイザー。 食や健康に関する知識を活かし、フリーランスライターとしてWebサイトから書籍まで多岐に渡る媒体で執筆に励む。企画...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。